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紙の申請・承認を減らしたい|
中小企業がペーパーレス化するときの始め方

社員が備品購入の申請書をExcelで作り、印刷して押印し、上司の机へ置きます。しかし上司は外出中。翌日承認されても、次は部長、総務へと紙が移動し、最後に総務が内容を別のExcelへ入力します。

一枚の書類でも、印刷・移動・待ち・再入力が積み重なります。目指すのは紙をゼロにすることではなく、申請が必要な人へ届き、今誰が確認中か分かり、必要な記録が残る状態です。

紙の申請書を持ち、承認者が不在の机を見て待つ担当者

この記事で分かること

  • 紙の申請・承認を棚卸しし、止まっている場所を見つける方法
  • 承認、確認、情報共有を分けて、不要な工程を見直す考え方
  • フォーム、ワークフロー、Webアプリを使い分ける目安

01 / WHERE IS IT NOW?

その申請書、誰かの机で
止まっていませんか?

紙の申請では、書類が存在していても「今どこにあるか」が見えないことがあります。申請者は上司へ渡したつもりでも、上司の机、社内便、次の承認者の書類棚で止まっているかもしれません。

01

備品・在庫購入

購入理由と金額を書き、上司や総務へ回す。

02

出張・交通費

日程、訪問先、費用を申請し、経理へ提出する。

03

休暇・残業

日付や時間を記入し、所属長の確認を受ける。

04

稟議・契約確認

内容に応じて複数の管理者へ回覧する。

05

作業報告

現場で記入し、管理者の確認後に保管する。

06

修理・車両使用

対象、日時、理由を申請し、担当部署へ渡す。

問題は紙の枚数だけではありません。印刷、持ち運び、承認待ち、差し戻し、保管、後工程への再入力まで含めて確認します。

02 / PAPER CAN BE PRACTICAL

紙を使うこと自体が
悪いわけではない

現場でPCやスマートフォンを使いにくい、月に数件しかない、紙の方が確認しやすい、利用者のIT環境が整っていない、災害時にも使いたい場合は、紙が合理的なことがあります。電子化にかかる費用や管理負担が、現在の手間を上回る場合もあります。

見るべきなのは「紙か電子か」ではなく、紙であるために不要な待ち、探索、転記が生じているかです。困っていない申請まで無理に変える必要はありません。

03 / INVENTORY REQUESTS

まず社内にどんな紙申請が
あるか書き出す

完璧な台帳は不要です。まず紙で回している申請を三つ挙げ、件数、関係者、紙である理由、処理時間を書きます。

紙申請を棚卸しする例
申請件数申請者承認者紙が必要な理由処理時間
備品購入月20件全社員部長慣例1~3日
出張申請月5件営業部長慣例1日
稟議月3件管理職社長記録を残す2~5日

「原本が必要」「現場で使いやすい」など具体的な理由と、「昔からこの様式だから」を分けます。慣例だけで残っている申請は、見直し候補になります。

紙の申請業務を一度整理してみる

どのツールを使うか決まっていなくても、申請の種類と現在の流れから確認できます。

申請業務について相談する

04 / PDF IS NOT THE FLOW

PDFに変えるだけでは
改善にならない場合もある

Excelの申請書をPDFにし、メールへ添付し、承認者が印鑑画像を貼り、次の担当者へ転送する方法なら、紙の移動はなくせます。しかし、誰が承認中か分からない、似たファイルが増える、メールを探す、最新版が分からない問題は残ることがあります。

紙をPDFへ置き換えることと、申請・承認の流れを改善することは別です。PDF化だけで目的を満たす簡単な申請もありますが、待ち時間や状況確認が課題なら、流れまで見直します。

05 / VISUALIZE THE FLOW

申請から承認までの流れを
見えるようにする

紙やホワイトボードで構わないので、実際に書類が移動する順番を書きます。各段階で「何を確認するか」「何日待つか」「差し戻すときはどこへ戻すか」も確認します。

申請申請者記入・印刷
一次承認直属上司目的・金額
二次承認部長権限・予算
処理・保管総務受付・記録
  • 書類を誰から誰へ渡すか
  • 承認者は何を基準に判断するか
  • 不在時の代理承認はあるか
  • どの段階で止まりやすいか
  • 完了後、誰がどこへ保管するか

紙が複数ファイルや個人フォルダへ分散している場合は、情報の役割と保存場所を整理する考え方も参考になります。

06 / REVIEW EACH STEP

その承認、本当に
全部必要ですか?

3,000円の備品購入に、係長、課長、部長、総務まで全員の承認が必要なのかを確認します。ただし、内部統制や社内規程を無視して省略してはいけません。権限規程とリスクを確認し、金額や内容によって経路を分けられないか検討します。

「承認」「確認」「情報共有」を分ける

承認

実行の可否を決める権限と責任がある。

確認

内容や記入漏れを点検するが、最終決定はしない。

情報共有

結果を知る必要はあるが、処理を止める必要はない。

記録

後から経緯を確認できるよう保存する。

情報共有だけの人を承認経路へ入れると、その人の確認待ちが増えます。承認完了後の通知で足りるケースもあります。

07 / SIMPLIFY BEFORE DIGITIZING

申請項目を減らし、
入力を再利用する

電子化の前に、誰も使っていない備考欄、重複した氏名・社員番号、別システムにある情報などを確認します。不要な項目を削り、選択肢や日付形式をそろえると、入力と確認の負担を抑えられます。

フォームへ入力した後、承認済み内容をExcelと会計システムへ再入力するなら、二重入力は残ります。CSV出力、参照、連携などで入力済みデータを後工程に使えないか検討します。詳しくは二重入力・転記作業を減らす方法で紹介しています。

08 / START SIMPLE

まずはフォームやメールで
改善できるケース

フォーム化

Googleフォーム、Microsoft Forms、Webフォームで備品購入の内容を入力し、Googleスプレッドシート等へ保存して担当者へ通知する方法です。紙への手書きや項目のばらつきを減らせる場合があります。

ただし、条件分岐が多い、承認段階が複数、履歴や差し戻しを厳密に管理したい場合は、フォームだけでは不足することがあります。

メール承認

月に数件で承認者が一人なら、メールで「承認」「差し戻し」と返信する方法でも十分な場合があります。新しいサービスを増やさず始められますが、件数が増えるとメールが埋もれ、承認状況を一覧で把握しにくくなります。

09 / WORKFLOW OPTIONS

件数が増えたら
ワークフローを検討する

申請件数が多い、承認段階が複数、履歴を残したい、外出先から承認したい、差し戻しを追いたい、部署や金額で承認者が変わる場合は、クラウド型ワークフローが候補です。

方法向いている例確認したい点
Googleフォーム等単純な受付・一覧化複雑な承認や権限に対応できるか
Microsoft 365Forms、SharePoint、Power Automateを使う運用既存契約と管理できる担当者
kintone等自社用の項目やステータスを作る費用、設定、運用ルール
ワークフローサービス複数段階、履歴、差し戻し必要機能と既存システム連携
小規模Webアプリ独自項目・独自承認・後工程との連携開発費、保守、権限管理

特定のサービスが常に正解ではありません。Google Workspaceを中心に使う会社とMicrosoft 365を中心に使う会社では、始めやすい選択肢が異なります。

10 / STATUS AND STORAGE

「誰の承認待ちか」と
保存先を決める

電子化の価値は、紙がなくなることだけではありません。申請済、課長承認待ち、部長承認待ち、承認完了、差し戻しなど、今どこで止まっているかを申請者と管理者が確認できることが重要です。

  1. 申請済
  2. 課長承認待ち
  3. 部長承認待ち
  4. 承認完了

案件進捗と考え方は似ていますが、ここでは社内申請の承認状態に限定します。ステータスを更新する考え方は、案件の現在地を一覧で管理する方法も参考になります。

電子化後の保存ルール

Google Drive、OneDrive、SharePoint、社内システム、ワークフローサービス内などから保存先を決め、ファイル名、閲覧権限、保存期間、管理者を明確にします。電子化しても個人メールや個人フォルダへ散らばれば、後から探しにくくなります。

11 / EXCEPTIONS MATTER

通知・差し戻し・
スマホ承認の注意点

必要な通知だけにする

新規申請、承認期限、差し戻し、長期未処理など、対応が必要な通知に絞ります。すべての更新をメールやチャットへ送ると、通知が多すぎて見られなくなる場合があります。

差し戻し後の流れを決める

申請内容が不足した場合は、申請者へ返し、修正し、再申請します。どの入力を残すか、再び最初の承認から回すか、コメントをどこへ残すかを決めます。承認だけの一本道では、実運用で困ります。

スマートフォン承認

外出の多い管理職がスマートフォンから承認できれば、帰社までの待ちを減らせる場合があります。一方、詳細資料は小さい画面で確認しにくく、誤操作、端末紛失、アカウント・アクセス権限にも注意が必要です。

承認ルールや例外対応を特定担当者だけが知っている場合は、電子化と並行して共有が必要です。詳しくは属人化した業務を見直す方法をご覧ください。

12 / CHECK REQUIREMENTS

電子印鑑や保存要件を
確認する

印鑑画像をPDFへ貼ること、電子印鑑、電子署名、電子契約は同じ意味とは限りません。社内の簡単な確認と、取引先との契約では求められる証拠や管理が異なります。契約や法的要件が関係する場合は、電子契約サービスの仕様と専門家の確認が必要になることがあります。

経理書類や契約書には保存義務・保存要件が関係する場合があります。紙をスキャンしたから原本をすぐ廃棄できる、電子保存なら常に問題ないとは限りません。対象書類と最新要件は、国税庁の電子帳簿等保存制度に関する案内や専門家へ確認してください。

13 / START SMALL

すべての紙を
一気になくさない

まず、件数が多く、承認待ちが長く、ルールが単純な申請を一つ選びます。備品購入申請で運用を試し、問題がなければ出張申請などへ広げます。

視点確認すること
件数毎日発生するか、月に数件か
待ち時間承認者不在で長く止まるか
二重入力承認後に別の表へ転記するか
承認段階何人を経由し、どこで止まるか
書類探索過去の申請を頻繁に探すか
難易度例外と法令上の確認事項が少ないか

「電子化できるか」ではなく「電子化する価値があるか」で判断します。紙で十分な申請は残し、効果が見込める部分から変えます。

14 / WEB APP

自社独自の申請なら
Webアプリも選択肢

独自の申請項目が多い、部署や金額で承認者を変えたい、スマートフォンから申請したい、添付ファイルや承認状況を一覧管理したい、申請データを発注や集計にも使いたい場合は、小規模なWebアプリも候補です。

ただし、既存のフォームやクラウドサービスで十分なら、そちらの方が早く、保守負担も小さい場合があります。現在の5段階承認をそのまま5画面にせず、廃止 → 統合 → 標準化 → IT化の順に見直します。

従業員50名の製造会社で考える例

備品購入時に社員がExcel申請書を作って印刷し、上司、部長、総務へ回し、総務が購入管理Excelへ入力しているとします。

改善案は、Webフォームへ入力し、金額に応じた承認者へ通知し、承認結果を記録して一覧化し、必要に応じて総務が発注する方法です。ただし、金額基準、予算管理、代理承認、保存要件によって適した方法は異なります。

入力フォーム申請項目を統一
確認承認・差し戻し条件に応じた担当者
把握状況を一覧化誰の確認待ちか
後工程データを再利用発注・集計など

承認結果を月次でまとめている場合は、毎月のExcel集計を減らす方法も参考になります。

Mossan Storeでは、紙・Excel・メールで行っている業務を現在の困りごとから整理し、既存のフォームやITツール、必要な場合の業務アプリでシンプルにできないか検討しています。電子契約の法務判断を行うサービスではありません。

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15 / FIRST STEP

まず一つの紙申請から
見直してみる

  1. 01どんな紙申請があるか書き出す
  2. 02なぜ紙なのか確認する
  3. 03申請・承認・保管の流れを書く
  4. 04不要な項目・承認を見直す
  5. 05簡単なものからフォーム化する
  6. 06必要ならワークフローやWebアプリを比較する

紙をなくすことだけが目的ではありません。申請が必要な人へ届き、誰が確認中か分かり、必要な記録が残る状態を作ることが目的です。まず、社内で紙のまま回している申請書を三つ書き出してみてください。

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