この記事で分かること
- 見積から受注・作業・請求までの現在地を一覧にする方法
- 更新しやすいステータスと「次の対応」の決め方
- Excelで十分な場合と、別のツールを比較する目安
01 / WHERE IS IT NOW?
「あの案件、今どうなってる?」
となっていませんか?
見積書、営業担当者のメール、受注一覧、工事予定表、請求管理表。必要な情報はどこかにあっても、案件の現在地を確認するたびに複数の場所を探していることがあります。
見積を出しっぱなし
提出後に回答を確認する日が決まっておらず、案件が止まったままになる。
受注後が別管理
受注一覧へ移したあと、元の見積一覧から状況を追えなくなる。
完了と請求がつながらない
作業が終わったかは現場、請求したかは経理へ聞かないと分からない。
担当者ごとに見方が違う
個人のExcel、メール、メモなど、進捗を確認する方法が統一されていない。
今回整理するのは、顧客情報の保存場所や、帳票への転記方法ではありません。案件が見積、回答待ち、受注、作業、請求のどこにいるかを確認できる状態です。
02 / START SIMPLE
案件管理は大きなシステムが
なくても始められる
案件管理というとCRMやSFAを思い浮かべるかもしれません。しかし、案件数が少ない会社では、案件名と担当者、現在のステータスが一つの表で分かるだけでも状況を確認しやすくなります。
いきなり全社へ広げず、営業部の見積案件だけを一覧にして試し、実際に使えると分かってから受注・請求へ範囲を広げても構いません。
03 / DEFINE A PROJECT
まず「何を1案件として
管理するか」を決める
会社によって、追いかけたい仕事の単位は異なります。問い合わせ1件、見積1件、工事1件、商談1件、注文1件など、自社で開始から完了まで状況を確認したい単位を決めます。
単位が大きすぎると進捗が曖昧になり、小さすぎると入力件数が増えます。まず現在の見積や注文で使っている単位を基準にし、運用しながら調整します。
04 / MINIMUM FIELDS
案件ごとに最低限
持っておきたい情報
候補となる項目は、案件番号、顧客名、案件名、担当者、見積日、見積金額、ステータス、次の対応、次回確認日、受注日、納品・完了日、請求日、備考です。
すべてを最初から必須にする必要はありません。まずは次の5項目でも始められます。
顧客
誰から依頼された案件か。
案件
何についての見積・仕事か。
担当
誰が次の対応を行うか。
ステータス
現在どの段階にいるか。
次回対応
次に何を、いつ行うか。
顧客住所、電話番号、詳細仕様、メール本文まで一覧へ入れると、横に長くなり更新が負担になります。詳細は見積書や顧客台帳に残し、一覧には進捗確認に必要な情報だけを表示します。
顧客情報と案件情報は分けて考える
A社という一つの顧客に、照明更新、保守点検、新規工事という複数案件が存在することがあります。顧客情報は一つでも、案件は複数です。顧客情報そのものが複数Excelへ散らばっている場合は、顧客情報を整理・一元化する方法を先に確認してください。
05 / PROJECT STATUS
進捗管理で最も重要なのは
「ステータス」
ステータスは、案件の現在地を表す短い言葉です。たとえば、次のような流れがあります。
- 問い合わせ
- 見積
- 回答待ち
- 受注
- 作業・納品
- 請求
- 完了
実際には、見積作成中、見積提出済み、受注、作業中、完了、請求待ち、請求済み、入金確認済みなどへ分ける場合があります。一方、会社によって不要な工程もあります。
最初はステータスを細かくしすぎない
20種類、30種類に分けると、選ぶのが難しくなり更新されない可能性があります。最初は「見積前・見積済・受注・作業中・完了・請求済」程度でも構いません。正確に細分化することより、実際に更新されることを優先します。
失注案件も削除せず残す
受注しなかった案件は「失注」などのステータスで残します。過去に見積を出した記録、次回問い合わせ時の参考、案件数の把握、簡単な振り返りに使えます。詳細な営業分析まで最初から行う必要はありません。
06 / NEXT ACTION
見積後の「次の対応」も
管理する
「回答待ち」というステータスだけでは、いつまで待ち、誰が次に動くか分かりません。顧客へ電話、見積修正、上司承認待ち、納期確認、請求書作成など、次の対応を一つ書きます。
この日付を設定すれば、見積を出したまま忘れている案件を定期的に確認できます。ただし、確認日を設定しただけで受注率が上がるとは限りません。目的は、対応が必要な案件を見つけやすくすることです。
07 / START WITH EXCEL
Excelで始める
簡単な案件管理
Excelで始める場合は、1行を1案件として管理します。次のような小さな一覧で十分です。
| 案件番号 | 顧客 | 案件名 | 担当 | 金額 | ステータス | 次回確認 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| P001 | A社 | 照明更新 | 山田 | 300,000円 | 見積済 | 8月25日 |
| P002 | B社 | 設備点検 | 佐藤 | 150,000円 | 受注 | — |
| P003 | C社 | 配線工事 | 鈴木 | 420,000円 | 請求待ち | 8月31日 |
入力ルールを先に決める
- ステータスはプルダウンから選ぶ
- 日付形式と顧客名の表記をそろえる
- 1案件を1行で管理する
- 終了した案件も削除せず完了・失注として残す
- 誰が、どのタイミングで更新するか決める
自由入力だけにすると「見積済」「見積提出」「提出済」など表記が分かれます。ステータスを選択式にすると、同じ条件で絞り込みやすくなります。
Excelを残すか別の方法を使うか決まっていなくても、現在の管理項目と流れから確認できます。
08 / CONNECT THE RECORDS
見積・受注・請求を
どうつなげるか
見積、受注、請求を別のExcelで管理すること自体が問題ではありません。それぞれの役割が明確なら、別々の管理表が使いやすい場合もあります。
その場合は、案件番号などの共通キーを持たせます。案件番号「P001」を案件管理、見積書、受注管理、請求管理で共通利用すれば、どの書類がどの案件に関係するか確認しやすくなります。
請求済みと入金確認済みは同じではない
請求書を送った状態と、実際に入金された状態は異なります。必要な会社では「請求待ち・請求済み・入金確認済み」を分けます。ただし、本記事の一覧は進捗確認のためのもので、会計上の正式な売掛管理や税務処理とは別に考えてください。
作業完了と請求待ちを区別すると、完了しているのに請求していない案件を探しやすくなります。これも請求漏れを完全に防ぐ仕組みではなく、確認対象を見つける補助です。
09 / KEEP IT LIGHT
案件管理表を作って
二重入力を増やさない
案件一覧を追加した結果、見積書の顧客名、住所、商品明細、金額をすべてもう一度入力する運用になると、担当者の負担が増える可能性があります。
一覧には進捗確認に必要な項目だけを持たせ、詳細は元の見積書や顧客台帳を参照します。Excel関数、ファイルリンク、CSV、既存サービスの連携機能などで参照できないかも確認します。転記そのものを見直したい場合は、Excelやシステムへの二重入力を減らす方法を参照してください。
10 / REVIEW ROUTINE
案件一覧は「いつ確認するか」
まで決める
表を作るだけでは、次第に更新されなくなることがあります。いつ更新し、いつ一覧を見るかを日常業務へ組み込みます。
- 担当者が見積提出、受注、完了のタイミングで更新する
- 毎朝、期限を過ぎた次回対応だけ確認する
- 週1回の営業会議で回答待ち案件を見る
- 金曜日に未対応案件を確認する
- 月末に完了・請求待ち案件を確認する
案件の進捗が担当者の頭の中にしかないと、「Aさんに聞かないと分からない」状態になります。最低限の進捗を共有する方法は、属人化した業務を見直す方法ともつながります。
11 / EXCEL OR ANOTHER TOOL
Excelで十分なケースと
別ツールを検討するタイミング
Excelで十分な場合
- 案件数と担当者が少ない
- 更新者が限定されている
- 管理項目が少ない
- 同時編集がほとんどない
- 現在のExcel運用で問題がない
別の方法を比較するサイン
- 複数人が頻繁に更新する
- 更新漏れやファイル分散が増えた
- 変更者や履歴を確認したい
- スマホ、添付、権限が必要
- 顧客との関連付けや通知を使いたい
困っていないなら無理に変更する必要はありません。Excelで管理しにくい部分がはっきりしてから、次の選択肢を比較します。
| 選択肢 | 向いている場面 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| Googleスプレッドシート | 複数人で共同編集したい | 権限と入力ルール |
| Microsoft 365 | Excel中心の運用を続けたい | OneDrive・SharePointでの共有方法 |
| CRM・SFA | 顧客・営業活動を本格管理したい | 機能、費用、定着負担 |
| kintone等 | 自社用の項目や画面を作りたい | 設定・運用を管理する人 |
| タスク管理ツール | 担当・期限・進捗の共有が中心 | 見積・請求情報との分け方 |
| 小規模Webアプリ | 必要機能だけに絞りたい | 開発費、保守、データ移行 |
12 / RULES BEFORE TOOLS
ツールを入れる前に
管理ルールを決める
ステータスの意味が曖昧なまま新しいシステムを導入すると、担当者ごとに使い方が変わる可能性があります。先に次の5点を決めます。
- 01何を1案件とするか
- 02どのステータスを使うか
- 03誰が更新するか
- 04いつ更新するか
- 05いつ一覧を確認するか
従業員30名の工事会社で考える例
営業4名がそれぞれのExcelで案件を管理し、受注後は事務が別のExcelへ入力、工事完了後の請求状況は経理へ確認しているとします。
改善案は、案件番号、顧客、担当、金額、ステータス、次回対応、請求状況を一つの一覧で確認できるようにし、見積提出・受注・工事完了など決めたタイミングで担当者が更新する方法です。既存の帳票は残し、まず進捗だけを共有します。
これは考え方の例です。承認方法、会計システム、工事管理のルールによって、適切な項目と更新担当は変わります。
13 / WEB APP
自社独自の流れなら
Webアプリも選択肢
Excelの操作を簡単にしたい、案件登録画面を作りたい、ボタンでステータスを変えたい、顧客と案件を関連付けたい、スマートフォンから確認したい、担当者や特定ステータスだけを表示したい場合は、小規模なWebアプリも選択肢です。
一方、一般的な案件管理であれば、既存のCRM・SFA、業務管理サービス、タスク管理ツールの方が、開発せず早く始められる場合があります。どれか一つを正解とせず、必要機能、費用、保守、現場の使いやすさを比較します。
Mossan Storeでは、Excelやメールで管理している業務を整理し、既存ツールで改善できる部分と、必要な場合の業務用Webアプリを検討しています。現在のサービス内容も、技術ありきではなく困りごとと優先順位を整理する進め方です。
14 / FIRST LIST
まずは見積案件を
一覧にするところから始める
現在進行中の案件をすべて完璧に整理する必要はありません。まず営業部の見積案件など、範囲を一つに絞ります。
- 01進行中の案件を書き出す
- 02案件ごとに担当者を決める
- 03現在のステータスを付ける
- 04次に何をするか決める
- 05いつ確認するか決める
- 06Excelで足りなければ別ツールを比較する
案件管理の目的は、項目を増やすことではありません。今どこまで進み、次に誰が何をするかを確認できる状態を作ることです。更新される小さな一覧から始めてください。